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2010年 8月 の記事

三菱自動車の「i-MiEV(アイミーブ)」や日産自動車の「リーフ」といった電気自動車の一般消費者向けへの販売が開始されました。電気自動車は、安価な夜間電力を利用して充電し、その電気で走ることで燃料費を大幅に低減できるというメリットがあります(ガソリン自動車の10分の1から15分の1という調査結果もあります)。また、発電時に発生するCO2を考慮しても、ガソリンを燃やして走る従来の自動車よりはCO2削減効果が期待できます。将来的には、太陽光発電システムで発電した電気を電気自動車に充電して利用するというアイデアもあるようです。これが実現すれば、運用時点ではいっさいCO2を発生しない自動車利用が可能になります。

一戸建ての住宅なら、車庫を改造して電気自動車の充電器(EV充電器)を設置することができます。しかしマンションとなるとこうはいきません。既存のマンションの駐車場にEV充電器を設置する場合、共用部分の変更にあたるため、区分所有法により、区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議が必要になるためです(追記:場合によっては、管理規約の規定により2分の1以上の多数決で導入できる可能性もあります)。

EV充電器と電気自動車のマンション居住者への普及は、にわとりと卵の関係ともいえます。電気自動車が普及しているのであれば、マンションにもEV充電器が必須となります。しかし普及していない状態では、EV充電器の導入とメンテナンスに無駄な費用がかかるだけのものとなってしまうため、マンションの区分所有者の賛成を得るのは難しく、EV充電器の導入は進みません。EV充電器がなければ、電気自動車は使えないので、マンション居住者は購入できません。

機械式駐車場の場合、設備の入れ替え時期(耐用年数は20年から25年)にEV充電器付きに更新するのであれば、まだ区分所有者の理解を得やすいかもしれません。それでも設置コストやメンテナンスコストが上がることが予想されるため、EV充電器の設置によほどのメリットがないと、多数の賛成を得るのは容易ではないでしょう。平置き駐車場では、さらにEV充電器の導入は困難です。駐車場エリアに電源が設置されていないケースが多いことから、EV充電器を取り付けること自体が難しかったり、大規模な工事が必要になったりするからです(機械式駐車場の場合は、パレットと呼ばれる駐車エリアを移動するための電源があるため、機械式駐車場をEV充電器付きへ更新すれば済みます)。

・電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV)に対応充電機能を持たせた立体駐車場を開発(三菱重工パーキング)
http://www.mhi.co.jp/news/story/0912154884.html

plug-in リフトパーク

三菱重工パーキングのEV充電器付き立体駐車場「plug-in リフトパーク」(写真提供:三菱重工パーキング)

たとえマンションにEV充電器が導入できたとしても、課金方法など解決しなければならない運用上の問題があります。そこでマンションデベロッパー大手の大京は、日産自動車と協力して既築マンションへのEV充電器の設置に対する問題点などを検証していく、と発表しています。大京では、前述のように区分所有者の合意を得るのが難しいことが予想されるため、既築マンションにEV充電器を設置するためのスキーム(所有者の合意形成)を検証するということです。またEV充電器を居住者に利用してもらうことで、運用上の課題とその解決策を実証するとしています。

・ルノー・日産アライアンスと大京 分譲済みマンションにおける電気自動車充電インフラに関する覚書を締結(大京)
http://www.daikyo.co.jp/dev/files/20100810.pdf

環境にやさしく、燃料費も安く済む電気自動車ですが、マンション居住者が買えるようになるまでは、乗り越えなければならない高いハードルがありそうです。

前のエントリで説明したとおり、地球環境という大物を相手にする環境問題や地球温暖化問題は自分の手にあまるので、注視はしつつもむやみに語らないことにしました。今日はこの問題について考えさせられた1冊の本をご紹介しようと思います。

Sustainable Energy without The Hot Air

これは、イギリスのDavid JC MacKayさんというケンブリッジ大学の教授が書いた『Sustainable Energy without The Hot Air』という書籍です。直訳すれば、「温暖化を伴わない持続可能エネルギーについて」とでもなるでしょうか。CO2排出やエネルギー問題について記した良書です。この本の面白い第1の点は、350ページを越える立派な書籍で、30米ドルほど(Kindle版もあり)で書店販売されているにもかかわらず、全コンテンツが無料でWebページやPDFで公開されていることです。

Davidさんの説明によれば、「この本はお金のために書いたわけじゃないから、Webの無料電子版がいいなら使ってくれたまえ」とのこと。ということで、誰でも書籍の全文を無料で読めます。

しかし本書を興味深いものにしている第2の点は、エネルギー問題について、徹底的に数字の裏づけを追求しながら説明していることです。

環境問題やエネルギー問題について記した書籍は数多くあります。私が先日行った大型書店の理工学書セクションには、「環境・エネルギー」というコーナーがあり、たくさんの書籍が山積みになっていました。タイトルをざっと見渡して思うのは、まったく正反対の趣旨の本が、さながら宗教戦争のように対立していることです。ある本は「地球温暖化問題は一刻の猶予もない。グズグズしていては手遅れになる」と危機感をあおっている一方で、「地球温暖化など嘘っぱち」とこき下ろす本もあります。どの本も、著者は大学の先生などの専門家ばかり。専門家の意見がどうしてこうも真っ二つに分かれるのか。素人としては何がどうなっているのか途方にくれるばかりです。

Davidさんがこの本を書いた理由の1つも、この混乱した状況に一石を投じたいということだったようです。Davidさんの説明によれば、混乱原因の第一は「形容詞であおる」こと。「地球には『莫大な』自然エネルギーがあり、これらを活かせばエネルギー問題は解決できる」など、特段の根拠なく形容詞だけで主張を繰り広げるものがあります。第2は、数字の裏づけをしているように見せかけて、実は統計上のトリックなどを巧みに使って自身に有利な主張をしているものです。これらに対しDavidさんは、徹底して客観的な数字で説明することを書籍全体に貫いています。その徹底ぶりは痛快なほどです。

具体的には、私たちが生活で必要とするエネルギーの需要量と、その需要に対し、自然エネルギーなどの非化石エネルギー源でまかなえるエネルギー量をバランスシートにみたてて、将来の持続可能なエネルギー生活がどのようなものか、夢物語ではない、現実的なエネルギー供給策はどのようなものなのかを論理的に探っています。

まずは要約版をごらんあれ

そんなに分厚い英語の書籍を読みこなすのは大変だ、と考える人も多いでしょう。実は私もその一人です。そんな人は、まずは要約版を読んでみてください。こちらは書籍の要点を10ページにまとめたものです。あくまで書籍全体のエキスを短くまとめたものなので、簡単に読めるとはいいませんが、このくらいならがんばって読んでみようという気になります。まずはこの要約版を読んで、興味をもった部分について、書籍版でさらに深く読み進むという方法がよいかもしれません。

約1年前に太陽光発電の情報サイト「太陽生活ドットコム」を立ち上げるとき、新サイトについてプレゼンするたびに、「CO2に起因する地球温暖化を回避するために太陽光発電は不可欠だ」と偉そうにふれまわっていました。けれどその後考えるところがあり、CO2排出問題や地球温暖化問題について口にするのをやめました。今回はこのお話をしたいと思います。

結局のところ、よくわからない

元米副大統領であるアル・ゴア氏の『不都合な真実』をはじめ、人間の生活に付随して排出されるCO2が地球温暖化を進めるという考えが、半ば常識として世界を覆っているのはみなさんご承知のとおりです。これに対して、「そんなものはウソッパチだ」とする書籍などが売られているのは以前から知っていました。最初のうちは私も地球温暖化問題信奉派だったので、こういう懐疑論は「たちの悪い印税狙いのパフォーマンスだろう」と思って取り合わないようにしていました。しかし個人的に非常に尊敬し、私のビジネスの先生でもある都村長生(つむら たけお)さんが、地球温暖化問題の完全な否定派だと知り、その氏の論文を読んだ結果、まったく自信がなくなってしまったのです(都村長生氏のページ。無料会員になれば、1日1つだけ記事を読めます。私が影響を受けた記事は、「なんしょんな Q&A」の175番です)。

都村氏の主張を簡単にまとめれば、「地球温暖化論のよりどころとなっているIPCC(気象変動に関する政府間パネル)の報告はまったく信用できない」「IPCC報告書のシミュレーション・モデルには根本的な欠陥がある」「百歩譲って温暖化が進むとして、温暖化はいけないことではない。温暖化が進めば、現在人類が直面している最大の問題である『食料問題』と『エネルギー問題』を解決できる」というものです。これはこれでかなり極端な意見であって、都村氏の意見にすべて賛同したわけではないのですが、地球温暖化論を無条件に信じていた気持ちは大きく揺らぎました。結局のところ、私は気象学の専門家ではありませんから、どちらの主張が正しいのか自分では判断できないということにいまさらながら気づかされたのです。わかりもしないくせに、偉そうに吹聴してまわった自分が恥ずかしくなりました。都村氏のほかにも、温暖化問題懐疑派の意見は多数あります。これらについては、ウィキペディアの地球温暖化に対する懐疑論を参照するとよいでしょう。

(さらに…)