太陽生活MORE

2011年 1月 の記事

たまたま書店で見かけて、ずいぶんと以前に買って机の上にずっと放置されていた書籍『エネルギー問題!』(松井賢一 著)を正月休みに読んでみました。太陽生活ドットコムやら、この太陽生活MOREやらで、エネルギー問題について発言したりする手前、勉強になりそうだと買い置きしてあった本です。書店でざっと目次を立ち読みしたときに、エネルギー問題にまつわるひととおりのトピックがカバーされているようだったので、別の本のついでに買ったのでした。

石油問題の本質:石油はなくなるのではなく、使われなくなる

この本冒頭は、こんなセンセーショナルな滑り出しで始まります。正直「ああ、よくあるアジテーション本の1つだったか」とがっかりしました。まあそれでもせっかく買ったんだし、どんなアジテーションなのかと読み進みました。

石油はいつか枯渇する。これはだれもが共通して持っている認識だと思います。石油のような天然資源に限りがあるのは当たり前ですし、一方でそうした資源へのニーズは急激に増えているのですから、いつしか人類は石油を使い果たしてしまうに違いない。そんな未来の世の中で、人々が文明的な生活を営むために必要になるものの1つが太陽光発電などの自然エネルギー活用だ。私のおおざっぱな「エネルギー問題」意識といえば、その程度のものでした。

ところが本書は、石油はなくなるどころか、そのうちあまり使われなくなるというのです。どうせ大した裏付けもなく、自己中心的な論旨が展開されるんだろうと思って読み進むと、意外にも、歴史的な背景やら、客観的な指標なども豊富に盛り込みながら、どうしてそうなのかがきちんと説明されていました。ここで詳しくは説明しませんが、その理由は「石油探査や採掘技術が高度化し、確認埋蔵量は増え続けていること」「石油の需要家が価格統制力を失ったOPECに見切りをつけ、石油離れを起こしつつあること」「石油需要の柱である自動車の電気化が進み、需要が激減すること」などだと説明されています。

エネルギー問題の現場で、この数十年何が起こってきたのか

著者の松井氏は、数十年にわたって、国際エネルギー機関(IEA)や国連(UN)のエネルギー問題のコンサルタントやアドバイザーとして活動されてきた人で、いわばエネルギー問題の舞台裏を見続けてきた人だといってよいでしょう。やはり、現実に起こったことに精通した人の論は迫力があります。

石油問題に続き驚かされたのは、地球温暖化問題の説明です。松井氏は現在の地球温暖化問題に懐疑的な目を向けながら、温暖化問題をめぐり、国連などでどのような駆け引きがあったのか、その中で日本がどれだけ貧乏くじをひかされているかがわかりやすく説明されています。京都議定書が定めた「1990年比での削減目標」が、なぜ「1990年」なのか。恥ずかしながらそれまではあまり深く考えなかったのですが、ヨーロッパ諸国にとってそれが有利だったからだそうです。説明によれば、1990年以降、イギリスは発電用燃料を石炭からガスに切り替え、ドイツは非効率だった旧東ドイツの発電所の効率を大幅に高めたため、この2国分だけで、ヨーロッパ全体の削減目標を達成できてしまうからだというのです。それではまるで、後出しジャンケンではありませんか。

また国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)において、ヨーロッパ諸国は一国一人で会議に参加するため参加者が大勢いるのに、削減目標の設定はEUで1つなので、議論や制度を有利な方向に導きやすいという問題もあるそうです。

表向きの報道だけ見ていると、ヨーロッパ諸国は二酸化炭素削減に非常に積極的なように思えますが、裏側ではこういう駆け引きがあり、結局割を食うのは日本だけ、というような状況があるようです。国連で大風呂敷を広げた鳩山前首相がこのあたりの事情を知っていたのかどうか、大いに気になるところですね。

素人でも読める、国際エネルギー事情の解説書

ついつい力が入ってしまいました。でも本当に、エネルギー問題について、私のような素人でもわかるように、やさしく解説してくれている良書です。この手の解説書というと、研究者が研究者に向けて書いた論文か、わかりやすいが信憑性や裏付けは非常に怪しい解説本かに分かれてしまう中で、本書は歴史的な経緯や客観的な指標を豊富に使いながら、それでいて研究論文ではなく、読み物として楽しめる稀少な本にまとまっています。

エネルギー問題に関心のある方は、ぜひとも一読されることをお勧めします。きっと、いままで持っている「エネルギー問題の常識」を気持ちよくひっくり返してくれるに違いありません。

『エネルギー問題!』(松井賢一 著/NTT出版 発行) ISBN978-4-7571-6046-0 価格:2415円

みなさま、新年あけましておめでとうございます。太陽生活ドットコム編集長の小川誉久です。今年も太陽生活ドットコム・太陽生活MOREをご愛読のほど、よろしくお願いいたします。

当社は先ごろ(2010年11月25日)、enervo(エネル簿)という新しい無料サービスのベータ版を公開しました。もうお使いいただけましたか? 今回は、この新サービスの簡単な紹介と、どうしてこのようなサービスを開発したのか、裏話をしたいと思います。

enervo(エネル簿)
http://enervo.jp/

もっと多くの人に、太陽光発電などの自然エネルギー活用に関心を持ってほしい

2010年7月に太陽生活ドットコムの公開を開始してから、はや1年半がたちました。おかげさまで太陽生活ドットコムは、1カ月のページビューが約15万ページ、サイトを訪れる人は月間で2万6000人までに成長しました。この数字が多いかどうかは見方によるでしょうが、「太陽光発電の消費者向け情報サイト」という特化された分野で、これだけの方にアクセスしていただけているのですから、一定の評価は得られたと考えてもよいと思っています。

けれどもこれで満足かといわれれば、まったくそうは思いません。補助金や余剰電力の高額な買取政策を追い風として、この数年の間に太陽光発電の認知が大きく広がったことは確かでしょう。しかしインターネットの掲示板などを見ると、いまだに、消費者が知らないのをいいことに、無理な販売を続けているような業者もいるようですし、ごくごく基本的なことで勘違いをしたり、不安や疑問を持ったりしている人も多いのが現状です。まだとても、太陽光発電が市民権を得たとはいえません。

もっともっと多くの方に太陽生活ドットコムを知っていただき、参考にしていただきたいと思っています。適切に設置すれば、太陽光発電はメリットが得られる投資だと思うからです。

また当社は営利を追求する企業のはしくれですから、太陽生活ドットコムを会社の収益につなげないといけません。残念ながらまだ現状は、期待したような収益にはつながっていません。メディアの収益力とは、どれだけ多くの人に読まれているかというメディアの影響力と連動しています。メディアの影響力とは、すなわち読者の数と質ですから、さらに読者を増やし、読者からの信頼を獲得しなければいけません。

では、太陽生活ドットコムのメディアとしての影響力をさらに拡大するためにどうすればいいのでしょうか。どこかに広告でも打って、大々的に宣伝をすればいいのでしょうか。それもとも、さらに入門的な記事を増やして、初心者層を獲得しに行けばよいのでしょうか。

いろいろと考えた末、私が行きついた結論は、「まだ太陽光発電にそれほど関心のない人に、より関心を高めてもらう」ということでした。現時点で太陽生活ドットコムに集まっていただいている読者の皆さんは、太陽光発電に対して強い意識と関心をお持ちの方だろうと思います。けれどもまだまだ多くの消費者は、「『太陽光発電』ならニュースで聞いたことがあるけど、自分に関係あるのかしら」と思っているのではないでしょうか。太陽生活ドットコムがより一段と読者層を広げるには、このように、まだ漠然としか太陽光発電や自然エネルギー活用をとらえていない人に読者になってもらうことだと考えたのです。

(さらに…)