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太陽光サーチャージ(太陽光発電促進付加金)をご存じでしょうか。2009年11月1日から開始された太陽光発電による余剰電力の新しい買取制度で必要になる買取費用を、薄く広く全国民で負担するために、使用量に応じて電気料金に上乗せされるお金のことです。

この制度、実はすでに開始されていて、2010年4月から付加金の徴収が発生するはずでした。しかし買取制度の開始が2009年11月で、対象となる買取費用の算出期間が2009年11月~12月までと短く、買取費用が少なかったため、実際の付加金徴収は1年持ち越して2011年4月からになりました(厳密にいえば、料金ゼロ円の徴収が開始されているという状態です)。

簡単にいえば、太陽光発電システムを設置者した人が受け取る売電のお金を、電気利用者(国民全員。事業者を含む)で負担するという政策です。この太陽光サーチャージに対して、インターネット上で「金持ち優遇策ではないか?」という声が上がっています。

太陽光発電システムを設置している人はお金をもらえる立場だからよいとして、不満を募らせているのは、太陽光発電システムを設置していない人、設置したくてもできない人などです(マンション住まいの人など)。「自分には何のメリットもないのに、どうして他人の懐に入る金を払わないといけないのだ」というわけです。太陽光発電システムを個人で設置できるのは、実質的に戸建て住宅の所有者であることが多く、くだんの「金持ち優遇策では?」という声につながっているようです。

日本国民は政府の政策をもっと監視したり、政策に対して声をあげたりすべきだと思うので、主張はどんどんしてもらっていいのですが、一部に誤解があるようなので私の考えをここにまとめておきます。

太陽光発電している人も負担義務がある

まず最初に指摘しておきたいのは、太陽光サーチャージは、太陽光発電システムを設置した人も、していない人も、全員が電気の使用量に応じて負担するということです。一部には、「設置していない人は払うばかり、設置した人はもらうばかり」と誤解している人がいますが、それは間違いです。太陽光発電システムを設置していても、夜など発電できない時間帯は電気を買っていますから、その消費電力量に応じて太陽光サーチャージを負担します。太陽光発電している人は、売電でお金を受け取りながら、同時に太陽光サーチャージも負担しているということです。

国民全員にメリットがある?

第2は、「自分には何のトクもないのに、他人の懐を暖める必要があるのか」という点です。これについては少し長期的な視点で考える必要があります。「本当に効果があるのか?」という点については議論の余地があるものの、少なくとも太陽光サーチャージの背景には、「将来的には国民全員の利益につながる」という考えがあります。

日本はエネルギー自給率が10%未満と非常に低い国であり、エネルギー・コストは石油や天然ガス、石炭などの世界市況に大きく依存します。2008年の原油高騰は記憶に新しいところでしょう。中国やインドなどの大人口を抱える新興国が、急速に経済発展して生活レベルを上げており、エネルギー需要を急拡大しています。これに対し、化石燃料資源には限りがありますから、長期的に見れば、日本が現在エネルギー源として多くを依存している化石燃料の値段は上昇する方向でしょう。何もせずこのまま輸入に頼っていたら、将来の電気代は今とは比較できないほど高価になってしまう可能性があります。

太陽光発電で作り出せる電力量など、全体からすればあまりに少なく、「焼け石に水だ」という議論もあります。確かに電力事業者の視点で見ると、太陽光発電はコストも高く、発電量は天気まかせで制御もきかず、発電効率も低い(20%未満)など、あてにしづらいエネルギー源でしょう。しかし現在でも、一戸建て住宅に4kW程度のパネルを載せて節電に励めば、年間を通じた電力収支はゼロ(つまり電気の自給自足)か、余剰を出すことも可能な水準です。個人の視点から「消費電力収支をゼロにできる究極の省エネルギー」と考えれば、十分意味はあると考えます。少なくとも、不安定な国外市況に依存しない、国産のエネルギー源が増えることは、エネルギー安全保障の観点ではプラスですし、最終的にこれは、多少なりとも国民全体のメリットにつながるはずです。

もう1点。地球温暖化回避のため、CO2(二酸化炭素)ガスの排出取引が始まろうとしています。これはCO2排出をコスト化して、排出に対し金銭的なペナルティを課すのが目的です。現在の地球温暖化の議論に懐疑的な目を向ける人もいます。私は専門家ではないので、この点は判断できません。しかしその真偽とは別に、世界が排出量取引などでCO2削減に大きく傾いていることは事実です。排出量取引が本格的に始まれば、CO2を大量排出する化石燃料由来の電気には、CO2排出のコストも計上されてくるはずです。一方、太陽光発電は運用時点ではCO2を出しません。したがってCO2排出コストとは直接的には無縁の電気を作り出せます。

「2020年までにCO2 25%削減」の鳩山首相公約はご存知だと思います。このうち実際に減らせそうなのは10%程度で、10~15%の削減分は途上国などから排出権を購入して穴埋めすると見られます。一説によれば、これに必要な資金は6000億円ほどになるとか。どのような形式にせよ、これも国民負担になります。CO2を排出しないエネルギー源の太陽光発電が増えれば、この国民負担も多少は減らせるはずです。

以上、化石燃料に頼らず、CO2も排出しない太陽光発電は、長い目で見れば国民全体の利益につながるのではないか、というわけです。

月間300億円以上の景気対策

太陽光発電の普及には、実は短期的なメリットもあります。直近の景気対策です。太陽光発電は、裾野の広い産業で、景気対策にも一定の効果が見込まれています。

J-PECのページを見れば分かりますが、補助金や余剰電力の高額買取策によって、太陽光発電システムを設置する家は急増しており、1カ月の着工数は継続的に1万件を超えています。太陽光発電システムの設置費用を仮に1軒あたり300万円とすると、1カ月には300万円×1万件=300億円以上のお金が動くことになります。このうち半分くらいはソーラー・パネルなどのメーカーに、残りの半分は流通業者や設置工事業者に渡るといわれます。地域による多少の偏りはあるものの、設置は全国で進んでいますから、全国的な景気対策といってよいでしょう。

補助金があるといっても、太陽光発電システムの設置では200万円以上の個人出費が必要です。つまりシステムを設置する人は、数百万円の自腹をきって、景気対策に貢献しているのだと考えることもできます。その後の電気代の節約や、売電によって費用を回収することを念頭に置いている人が多いでしょうが、本当に元がとれるかどうか、いつになったら元をとれるのかも保証されているわけではありません。

足元の景気活性化と、将来的に安定的かつ安価に電気を使える国に少しでも近づけるために、国内の太陽光発電を増やす必要がある。このために、一部の国民の懐から数百万円を使わせたい。しかし明らかに損をするというのでは誰も手を出しません。「長い目で見れば元をとれるし、得になるかもしれない」と思ってもらう必要があり、そのための策の1つが余剰電力の高額買取であり、それを支えるのが太陽光サーチャージだというわけです。

太陽光発電システムの設置支援に対して、全国民が負担を強いられることを批判するのはまったくかまいません。ただし背景にこういう考えがあることを踏まえて、論理的に議論が進むといいなと思います。


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2 件のコメントが寄せられています。:

  1. 小林 篤好 より:

    3週間前に200L購入@76円が今日は83円、薪を焚いていた時は、1回の購入量で2~3か月は足りたものを、10kwでもまだ不足でしょうか・

  2. 印藤五一 より:

    大変示唆に富んだ提言で有りありがたく思います
    日本の人口が減少しても電気の需要が減るとは思えません
    私が心配するのはインバーターから発する広帯域電磁波ノイズです
    私はアマチュア無線家で色々な周波数で、きわめて微弱な電波を追い求め又強力であっても電波法に定められたきれいな電波を発射しています
    IT業界も含めて太陽光発電設備が無線通信の障害にならないことを祈ります。