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太陽光発電に熱心な都道府県はどこ?
太陽光発電の住宅向け設置件数が多い都道府県はどこだと思いますか?
ここでは、太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)が公表している2009年度の1年間の住宅用太陽光発電補助金の交付受付件数をもとに、都道府県別の太陽光発電の設置件数について考察してみましょう。
・公開情報(太陽光発電普及拡大センター)
http://www.jpea.gr.jp/j-pec/data/index.html
設置件数の多い都道府県は?
順位 | 都道府県名 | 設置件数 | 世帯数 | 世帯数順位 |
1 | 愛知県 | 9,649 | 2,862,859 | 5 |
2 | 東京都 | 8,951 | 6,241,989 | 1 |
3 | 埼玉県 | 7,413 | 2,870,345 | 4 |
4 | 福岡県 | 5,292 | 2,147,845 | 9 |
5 | 兵庫県 | 4,984 | 2,321,121 | 8 |
6 | 大阪府 | 4,864 | 3,864,118 | 3 |
7 | 神奈川県 | 4,664 | 3,887,348 | 2 |
8 | 静岡県 | 4,643 | 1,428,465 | 10 |
9 | 広島県 | 4,312 | 1,217,486 | 11 |
10 | 岡山県 | 4,028 | 774,399 | 18 |
11 | 熊本県 | 3,935 | 724,636 | 23 |
12 | 千葉県 | 3,759 | 2,540,337 | 7 |
13 | 長野県 | 3,305 | 809,650 | 16 |
14 | 栃木県 | 2,881 | 747,665 | 20 |
15 | 宮崎県 | 2,578 | 496,743 | 34 |
2009年の住宅用太陽光発電補助金の交付受付件数
世帯数が多い首都圏の都県の設置件数が多いことは容易に予想できます。実際、総務省が公表している2009年3月31日時点の住民基本台帳をベースに集計した「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の上位5都府県(東京都/神奈川県/大阪府/埼玉県/愛知県)は、太陽光発電の設置件数でもベスト10に入っています(J-PECの交付受付件数は2009年度、総務省が発表している世帯数は2009年3月時点と、集計時期に若干の違いがあります。以下もこれらの組み合わせで設置比率などを求めています)。
・住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(総務省)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/17216.html
少々意外なのは、世帯数で5位の愛知県が設置件数では1位であることです。愛知県内の市町村の太陽光発電に対する補助金が多いことが理由ではないかと考えたのですが、この点はほかの県(神奈川県や埼玉県など)とそれほど大きな差はありませんでした。住宅用太陽光発電は、基本的に自己所有の戸建住宅が対象です。そのため、世帯数が多くても、マンションに居住している世帯や賃貸住まいの多い首都圏/大阪府は少々不利になり、結果として愛知県の設置件数が1番になっているのではないかと思います(都道府県別の自己所有の戸建住宅件数の統計データがないため、正確な検証はできませんが)。
また、愛知県は東京都に次いで、平均所得が高い県です。太陽光発電システムは高価な買い物ですから、このあたりも愛知県の設置件数を押し上げる要因になっていると予想します。
なお世帯数が多い割に千葉県の設置件数が少ないのは、千葉県から補助金の支給がないうえ、県下の市町村でも補助金を支給するところが少ない(あっても予算規模が小さい)ためと思われます。
世帯数に対して設置比率の高い都道府県は?
上の結果は単純な設置件数ですから、当然ながら世帯数が多い大都市圏が上位に入ります。では次に、一定世帯数あたりに設置比率が最も高い都道府県はどこかを調べてみましょう。具体的には、設置数を都道府県内の世帯数で割り、設置比率を求めてみます。結果は次のようになりました。
順位 | 都道府県名 | 設置件数 | 世帯数 | 設置比率 |
1 | 熊本県 | 3,935 | 724,636 | 0.54 |
2 | 岡山県 | 4,028 | 774,399 | 0.52 |
3 | 宮崎県 | 2,578 | 496,743 | 0.52 |
4 | 佐賀県 | 1,564 | 307,581 | 0.51 |
5 | 大分県 | 2,526 | 504,579 | 0.50 |
6 | 岩手県 | 2,049 | 500,973 | 0.41 |
7 | 長野県 | 3,305 | 809,650 | 0.41 |
8 | 滋賀県 | 1,956 | 503,523 | 0.39 |
9 | 栃木県 | 2,881 | 747,665 | 0.39 |
10 | 広島県 | 4,312 | 1,217,486 | 0.35 |
設置比率が高い都道府県上位10県
こうすると、顔ぶれはガラリと変わりました。岡山県を除くと、九州地方の県の設置比率が高くなっています。これらの県では、全世帯数の0.5%以上が2009年に太陽光発電を設置しました。0.5%というと、200世帯に1件の割合ということになります。一見すると大した数字ではないように思えますが、2009年度の1年間での設置数であることや、築年数が経った家屋や、屋根の形状などから太陽光発電の設置が難しい家屋も少なからずあることを考えると、200世帯に1件というのは高い比率といえるでしょう。
熊本県と宮崎県は県庁が太陽光発電に力を入れており、メーカーの誘致などにも積極的です。またホンダの子会社のホンダソルテックは熊本県に本社と製造工場があり、ソーラーフロンティアは宮崎県に製造工場があります。こうした関係も、両県の設置比率が高い理由の1つになっているのかもしれません。
岡山県は、瀬戸内海式気候で晴天率が高いことから(岡山県のキャッチフレーズは「晴れの国」だそうです)、太陽光発電に向いているのかもしれません。佐賀県と大分県の設置率が高い理由も、岡山県と同様、晴天率が高いことと無関係ではないでしょう。
ちなみに設置率が低いのは、北海道、秋田県、青森県、新潟県、石川県と、いずれも晴天率が比較的低い地方でした。地域別の年間日照時間については、関連記事を参照してください。
続いて、京都府、神奈川県、大阪府、東京都、千葉県と世帯数が多い都府県の設置率が低くなっています。京都府(特に京都市)は、景観条例があり、太陽光発電の設置に一部制限があることが、設置率の低さにつながっているのかもしれません。
大阪府、東京都、千葉県については、前述のようにマンション世帯も多いことから、結果として設置率で見ると、0.15%以下と低くなってしまうのでしょう。とはいえ、ざっと見渡しても、設置に好都合そうな戸建て住宅はまだまだ多いと思われますし、関東地方は天候面での不利はありませんから、神奈川県、大阪府、東京都、千葉県あたりには、まだまだ太陽光発電の大きなマーケットが残っていると見てよいでしょう。
順位 | 都道府県名 | 設置件数 | 世帯数 | 設置比率 |
38 | 千葉県 | 3,759 | 2,540,337 | 0.15 |
39 | 東京都 | 8,951 | 6,241,989 | 0.14 |
40 | 大阪府 | 4,864 | 3,864,118 | 0.13 |
41 | 神奈川県 | 4,664 | 3,887,348 | 0.12 |
42 | 京都府 | 1,309 | 1,106,903 | 0.12 |
43 | 石川県 | 435 | 440,424 | 0.10 |
44 | 新潟県 | 791 | 843,516 | 0.09 |
45 | 青森県 | 522 | 567,780 | 0.09 |
46 | 秋田県 | 375 | 417,941 | 0.09 |
47 | 北海道 | 1,817 | 2,637,145 | 0.07 |
設置比率が低い都道府県上位10県