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2009~2010年の太陽電池の出荷量が急増。国内市場は活況も、輸入製品が急増中
日本の太陽光発電関連の業界団体である一般社団法人 太陽光発電協会(Japan Photovoltaic Energy Association:JPEA)が、平成21年度(2009年度)第4四半期(2010年1月~3月)、ならびに平成21年度通年(2009年4月~2010年3月)の太陽電池モジュールの出荷量の調査結果を発表しました。これは、調査対象22社にアンケートを行い、太陽電池モジュールの出荷量(国内市場向け出荷量と輸出量)を調査したものです。この22社には、シャープや京セラ、三洋電機といった主要国内メーカーのほか、輸入品を国内市場向けに販売しているサンテックパワージャパンなど、日本国内で太陽電池モジュールを製造・販売しているほとんどの企業が含まれています。ここでは、この調査結果から主に国内市場向けの出荷動向を見ていきます。
2009年度第4四半期(2010年1月~3月)の国内市場の出荷動向
調査によれば、2009年度(平成21年度)第4四半期の国内市場向けの出荷量は212MW(21万2435kW)で、対前年同期比の約3倍と大幅に増加したことがわかりました。このうち住宅用が170MW(16万9980kW)と、出荷構成比で80.0%を占めており、対前年同期比も約3倍でした。いうまでもなく、急伸の背景には、2009年度に国からの補助金が復活したこと、2009年11月からは売電価格が2倍になったことが挙げられます。
四半期単位の住宅向け国内出荷量を過去からグラフにしてみると、2009年度がどれだけ急増したのかよくわかります。
実際、国の補助金の受付業務を行っている太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)が公開している2009年度の国の補助金申請の受理件数を見ても、2009年7月以降は毎月1万件以上、2010年3月には駆け込み申請もあったのか約2万5000件に達しています。
2009年4月 | 2989 |
5月 | 6770 |
6月 | 9214 |
7月 | 11411 |
8月 | 10690 |
9月 | 11419 |
10月 | 14825 |
11月 | 14339 |
12月 | 14204 |
2010年1月 | 12812 |
2月 | 10940 |
3月 | 24988 |
2009年度の補助金申請の受理件数
受理件数(太陽光発電の設置件数)の増加傾向は、2010年度も引き続いており、2010年度の補助金受付が開始された2010年4月26日から2010年6月20日現在の申請受理件数は2万6000件を超えたということです。1カ月あたりの受理件数は、2009年度のそれと比較しても増加傾向にあることから、2010年度終了時点での太陽光発電モジュールの出荷量は、前年度からさらに伸びることが予想されます(→太陽光発電普及拡大センター 受理件数)。
輸入製品が増える国内市場
調査結果には、国内生産品と輸入品の比較もあります。これによると、国内市場向けの総出荷量は、2009年度通年で前年比約2.6倍の623MWで、このうち輸入後に出荷された分(つまり輸入製品分)は70MWでした。これは国内総出荷量の約11%です。全体から見るとそれほど多くありませんが、輸入品の出荷量は前年比の約469倍と急増しており、急速に販売量を増やしていることがわかります。
これまで太陽電池モジュールというと、日本メーカーが開発を先導してきたこともあり、歴史的に国内向けでは日本製の製品が主流でした。しかしサンテックパワー(中国)の日本子会社であるサンテックパワージャパンが、ヤマダ電機と提携し、本格的に国内市場での販売を開始するなど、輸入製品を販売するところも増えてきています。カナディアン・ソーラー(カナダ)やトリナ・ソーラー(中国)など、世界市場において太陽光発電モジュールの出荷量がトップ10に入るメーカーの国内市場への参入も予定されています。このことからも輸入製品の比率は、今後とも伸びることが予想されます。
海外メーカーの国内市場参入により、太陽光発電モジュールの選択肢が増えるとともに、競争による低価格化も期待できるでしょう。安価になるのはうれしいことですが、太陽電池は20年以上と長く使うものですから、品質やサポート、保証などの点には十分注意して製品を選びましょう。
- 日本における四半期ごとの太陽電池出荷量の推移(太陽光発電協会)
http://www.jpea.gr.jp/04doc01.html - 日本における太陽電池出荷量の推移(太陽光発電協会)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/qlg2009.pdf - 平成21年度第4四半期及び年度値 太陽電池セル・モジュール出荷統計について(太陽光発電協会)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/pub_st04.pdf