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gene連日のように新聞やテレビが取り上げるようになり、太陽光発電に対して関心を寄せる人が急速に増えていると感じています。Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイトを眺めていても、ここ最近は太陽光発電に関する質問が目白押しです。太陽光発電の情報サイトを運営している立場としてはうれしいかぎりです。が、「石炭や石油を使う火力発電など早くやめて、全部太陽光発電に切り替えるべきだ」というような過大評価があると思えば、「太陽光発電は発電効率が悪くコストも高いのでまったく当てにできない」という過小評価があるといった具合に、評価は人によって大きく開きがあります。こういう極端な意見にはたいてい誤解があるというか、まったく異なる「2つの太陽光発電」をまぜこぜにしている場合が多いようです。今回はこのお話をします。

電力事業者から見た太陽光発電

「2つの太陽光発電」とは、電力事業者(電力会社)による太陽光発電と、消費者による太陽光発電です。太陽の光を電気に変えて利用するという意味ではどちらも同じですが、意味合いはまったく違います。まず最初は、電力事業者の視点で太陽光発電を眺めてみましょう。

電力事業者の立場で太陽光発電を見ると、いろいろと重大な問題があります。まずは量の問題。経済産業省が発表した2008年度のエネルギー供給実績(PDF)エネルギー白書 2010の「エネルギーバランス・フロー概要」から推測すると、2008年度に日本で供給された全電力エネルギーに占める自然エネルギー(太陽光発電、太陽熱利用、バイオマス利用、風力発電)の割合は、たったの0.5%程度しかありません。つまり風力発電など自然エネルギーを全部まとめても、全必要エネルギーの200分の1しか供給できていないということです。太陽光発電を多少増やしたところで、必要量を確保するのはほとんど不可能といわざるをえません。

次にコストの問題。経済産業省発行の『エネルギー白書 2008年版』によれば、1キロワット時あたりの発電コストは石炭で5~6.5円、石油で10~17円、原子力で4.8~6.2円であるのに対し、太陽光は46円(石炭や原子力の10倍程度)とかなり割高です。ここ最近は供給量が大幅に増えて、急速な低価格化が進んでいるという太陽光発電システムですが、まだまだ高価な電源であることは確かでしょう。発電コストは最終的に電気料金に反映されますから、割高な太陽光発電の割合を増やすと、必然的に電気料金は高くなってしまいます。

最後は供給量制御の問題。電力事業者の仕事は、「電気」という、基本的に貯蔵できず、発電したそばから使われていくという性質の商材を、いつなんどきも不足なく顧客に提供し続けることです。現代の私たちの生活は、あらゆる部分で「空気を呼吸するように電気が使える」ことが前提になっています。たとえ短時間でも大停電が起こったら、私たちの生活は大混乱に陥るでしょう。太陽光に限らず、自然エネルギー利用に共通する問題ですが、太陽光発電は、電力受給の事情とは無関係に、お天気しだいで発電量が変わります。日々の電力需要をにらみながら、発電計画を立てている担当者からすれば、冗談としか思えない発電方法かもしれません。このような自然エネルギーでは、バッテリを使って安定的な電源とすることができますが、バッテリの追加コストが必要になってきます。

以上、太陽光発電は、必要な量は到底確保できず、コスト高で、発電はきまぐれということですから、電力事業者から見れば、非常に筋の悪い発電方法だろうと思います。問題解決に向けた技術開発は継続する必要があると思いますが、個人的には、電力事業者が太陽光発電所を電力供給の柱として利用するのは難しいだろうと思います。

消費者から見た太陽光発電

一方、消費者視点で太陽光発電を見るとどうなるでしょうか。現在は、1kWあたり65万円程度でソーラー・パネルを屋根にのせられます。全国平均でみると、一軒あたりの出力は4kW弱だそうです。したがって4kW×65万円=260万円程度で太陽光発電システムを設置できます。地方にもよるでしょうが、4kWなら年間で4000kWh弱くらいは発電できるでしょう。これに対し、家庭での年間の電気消費量は5000kWh弱となっています(『2009 家庭用エネルギーハンドブック』より)。単純計算では20%ほど足りませんが、節電などに努めれば、トントンに近い線までもっていけるレベルでしょう。電力会社の視点ではまったくお話にならなかった発電量も、消費者視点でみれば十分見合う水準なのです。

そして夜は電気を買い、昼は余った電気を売ることになるでしょうが、向こう10年間、売電は48円/kWhと高いので、電気料金においては差し引きで利益を出すことも不可能ではありません。10年で元をとるのは難しいにせよ、20年くらい発電し続けてくれれば、十分260万円は取り返せるはずです。

住宅向けにしても発電コストが高いのは同じです。けれども、作った電気に利益を乗せて販売する電力会社の立場ではなく、そもそも利益を乗せた後の高い電気を買っている最終消費者の立場で見れば、46円/kWhはべらぼうな値段とはいえません(昼間の電気料金は24円/kWh程度)。またすでに述べたとおり、余剰分は48円/kWhで売れますから、この部分ではわずかな利益も出る計算です。

また同じく、太陽光発電はお天気まかせで気まぐれにしか発電してくれません。けれど住宅では、もともと必要な電力は購入できるわけですから、足りなければ買い、余れば売ればいいだけの話です。シビアな電力の受給バランスなど無関係です。

太陽光発電は消費者向けの省エネツール

以上、電力事業者にとってはあまり現実的でない太陽光発電も、消費者にとっては十分見合う恩恵があります。目的も必要要件もまったく異なるこれらの2つの太陽光発電は、別々に考えないといけないということです。

さらにいえば、太陽光発電は、より少ないエネルギーで、豊かな暮らしを続けられるようにする省エネツールの延長にあるものだと思います。ソーラー・パネルを屋根にのせて、省エネルギーの工夫をすれば、外部依存を低減した省エネ生活ができます。それはつまり、環境への負荷も減らすことになりますし、万が一資源価格が高騰して電気代が大幅に値上がりしても、天災が起こって電力供給が途絶えても、それらの影響を最低限に抑えられるのです。

何が起こるかわからないいまの時代、消費者にとって太陽光発電は、ちょっと魅力的な選択肢ではありませんか。


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