太陽生活MORE

約1年前に太陽光発電の情報サイト「太陽生活ドットコム」を立ち上げるとき、新サイトについてプレゼンするたびに、「CO2に起因する地球温暖化を回避するために太陽光発電は不可欠だ」と偉そうにふれまわっていました。けれどその後考えるところがあり、CO2排出問題や地球温暖化問題について口にするのをやめました。今回はこのお話をしたいと思います。

結局のところ、よくわからない

元米副大統領であるアル・ゴア氏の『不都合な真実』をはじめ、人間の生活に付随して排出されるCO2が地球温暖化を進めるという考えが、半ば常識として世界を覆っているのはみなさんご承知のとおりです。これに対して、「そんなものはウソッパチだ」とする書籍などが売られているのは以前から知っていました。最初のうちは私も地球温暖化問題信奉派だったので、こういう懐疑論は「たちの悪い印税狙いのパフォーマンスだろう」と思って取り合わないようにしていました。しかし個人的に非常に尊敬し、私のビジネスの先生でもある都村長生(つむら たけお)さんが、地球温暖化問題の完全な否定派だと知り、その氏の論文を読んだ結果、まったく自信がなくなってしまったのです(都村長生氏のページ。無料会員になれば、1日1つだけ記事を読めます。私が影響を受けた記事は、「なんしょんな Q&A」の175番です)。

都村氏の主張を簡単にまとめれば、「地球温暖化論のよりどころとなっているIPCC(気象変動に関する政府間パネル)の報告はまったく信用できない」「IPCC報告書のシミュレーション・モデルには根本的な欠陥がある」「百歩譲って温暖化が進むとして、温暖化はいけないことではない。温暖化が進めば、現在人類が直面している最大の問題である『食料問題』と『エネルギー問題』を解決できる」というものです。これはこれでかなり極端な意見であって、都村氏の意見にすべて賛同したわけではないのですが、地球温暖化論を無条件に信じていた気持ちは大きく揺らぎました。結局のところ、私は気象学の専門家ではありませんから、どちらの主張が正しいのか自分では判断できないということにいまさらながら気づかされたのです。わかりもしないくせに、偉そうに吹聴してまわった自分が恥ずかしくなりました。都村氏のほかにも、温暖化問題懐疑派の意見は多数あります。これらについては、ウィキペディアの地球温暖化に対する懐疑論を参照するとよいでしょう。

その代わりに、住宅のエネルギー問題に注目しよう

それでは、太陽光発電は無意味なのか、「太陽生活ドットコム」やこのブログも無駄話なのかといえば、そうではありません。温暖化問題が本当なのか、ウソなのか。温暖化問題が本当だとして、どうすればそれを回避できるのか。専門知識もないのに、こういう大きな話について論じるのは危険だと思います。代りに私は、自分たちが生活する住宅のエネルギー問題に注目したいと考えています。

日本はエネルギー資源の90%以上を国外からの調達に依存していて、資源ナショナリズムや市況変化に非常に脆弱な状態です。一方で新興国の急激な経済発展により、必要エネルギーは急増しています。日本人がいつまでも、エネルギーを安価かつ潤沢に利用し続けられるかどうかは非常に不透明だと思っています。

マクロ的な観点では、国家としてのエネルギー戦略とか、資源外交とか、電力会社やガス会社などのエネルギー供給メカニズムの話になると思うのですが、残念ながらこの領域もスケールが大きすぎて私の手には負えません。やはり専門家に任せたいと思います。

スケールが大きく複雑な話はよくわかりませんが、住宅という自分の生活環境において、いままでの生活レベルをできるだけ落とすことなく、可能なかぎり消費エネルギーを減らす「省エネ生活」についてなら、自分でも考えられそうです。エネルギー・ペイバック・タイム(→用語解説)やCO2ペイバック・タイム)などに注意する必要がありますが、より少ないエネルギーで生活できるようになれば、少しはマクロレベルのエネルギー不足の問題にも貢献できるし、(地球温暖化問題の真偽はともかく)CO2排出も自然破壊も減らせるはずです。このためには、太陽光発電や太陽熱温水器などの自然エネルギー利用、エコキュートや燃料電池(エネファーム)、LED照明などの省エネ機器活用、そして将来は、家庭内の直流化やバッテリ(蓄電池)の設置などが必要になるでしょう。将来自動車が電気駆動になれば、自動車もこの住宅エネルギー環境の中に入ってくると思います。

自分の目が届かない地球温暖化やCO2問題については発言を控えます。けれども自分の目が届く、21世紀の住宅エネルギー革命については大いに勉強して発言したいと思います。お付き合いのほどよろしくお願いします。

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3 件のコメントが寄せられています。:

  1. 太陽光発電も石油の節約になるかどうか怪しいですよ。
    地球温暖化論者と繋がりが強固ですし。

    地球温暖化論と同じように、エネルギー・ペイバック・タイムやCO2削減量の計算の根拠を徹底的に検証しましたか?

    例えば、太陽光発電装置の寿命は、何年ですか?20年?30年?根拠がありましたら教えてください。問題は、根拠がないにもかかわらず、数字だけが一人歩きしていて、信頼のできる実態調査はなく、する気もないということです。

  2. ご意見ありがとうございます。

    どうすれば徹底的な検証になるのかわかりませんが、太陽光発電システムのエネルギーペイバックタイム(EPT)とCO2ペイバックタイム(CO2PT)については、産業技術総合研究所 太陽光発電研究センターが2007年に発表した以下の資料の信憑性が高いのではないかと思っています。

    太陽光発電のエネルギーペイバックタイム・CO2ペイバックタイムについて
    http://unit.aist.go.jp/rcpv/ci/about_pv/supplement/supplement_1.html

    これによれば、多結晶シリコンタイプでEPTが2年程度、CO2PTが2.7年程度とされています。

    一方の太陽光発電システムの寿命ですが、よくいわれる「20~30年はノーメンテで使える」というのは必ずしも信じていません。ただ私が取材しました太陽光発電システム搭載後7年のケース2例は、特に問題なく発電を継続されていました。

    太陽光発電、7年続けてみてどうですか?
    http://taiyoseikatsu.com/special/veteraniv/askveteran01.html

    ほかにも、10年級の設置事例の話はいくつか耳にしますが、一部故障などの話はあれ、総じて少なくとも10年程度は重大な問題なく使える印象です。

    くだんのEPT、CO2PTの論文が正しいとすれば、太陽光発電システムの寿命はそれらに比較して十分長そうなので、エネルギーの節約につなげることができると思っています。

  3. 丁寧な回答ありがとうございました。
    私も自身のブログで回答に対する回答を書きました。お暇なときにご覧ください。